里山のツキノワグマ 79 〜2月の大雪以降に消えたイノシシの痕跡 雪中に埋没してエサ資源に?〜

 今日(2021.02.27)は休日の土曜日ということで、天候が回復した午後から定点観察地点の雪上調査を実施しました。

<左上:2月末になっても昨秋の熊棚が確認できます 右上:雪上調査にはテレマークスキーが最適>

<左下:青空にホオノキが良く映えます 右下:春になったらこのホオノキにクマが来るかな?>

 

<左:杉林との境界にイノシシの痕跡は無し 右上:目の前を駆け抜けたトウホクノウサギの足跡>

 

 先々週まで沢山確認できたニホンイノシシのラッセル跡や足跡ですが、2月19日に守門アメダス観測点で最大積雪深324cmを記録した大雪の後から、この定点観察エリアではニホンイノシシのフィールドサインはまったく確認されなくなっています。イノシシは積雪が少ない新潟県内の海岸近くに大きく移動した可能性も完全には否定できませんが、当地の積雪深や海岸エリアまでの距離(直線で約40km)を考慮すると、当地のニホンイノシシは2月中旬の大雪により埋没死(餓死)した可能性のほうが大きいようにも思います。仮にそうだとすると、この定点観察地点には10頭前後のニホンイノシシが斃死しており、冬眠(冬篭り)から目覚めたツキノワグマの貴重なエサ資源となることも想定されます。里山のツキノワグマはどのような食性を有しているのでしょうか。春の冬眠明けに向けて、フィールド調査はまだまだ続きます。

 

<左上:オニグルミの森の先には学校や庁舎が 右上:昨秋にクマが頻繁に来ていたオニグルミの森>

<左下:春に向けて積雪はザラメ雪に変化 右下:雪原の中をJR只見線のディーゼル列車が行きます>