里山のツキノワグマ 4 〜里山の実り具合を調査〜 2020.09.03

 今日(R02.09.03)の新潟県魚沼地方はフェーン現象の朝を迎えています。守門アメダス観測点における最低気温は28.3度、日中の最高気温は35度と予想されています。大気中の湿度は低いのですが、気温が高いため熱中症への警戒が必要です。

 さて、今朝の里山の定点観察(エコミュージアム園内ではありません)で、主にミズナラとコナラの結実状況を調査してきました。新潟県全体の調査では「ドングリの作柄は凶作から並作」とされています。確かに全てのナラの木(雌雄同株)にドングリが実っているわけではありませんが、細かく見てゆくと「たわわにドングリを実らせたナラの木」も結構あります。エコミュージアムの自然観察指導員の皆さんに伺っても「今年の新潟県魚沼地域のドングリの作柄は標準的(平年並)かな?」という答えが返ってきます。

 また「ツキノワグマが頻繁に目撃される定点観察地点」ではシバグリ(柴栗=野生の栗)も沢山実っています。当地のツキノワグマは河畔林のオニグルミや山手のシバグリも採食します。そして定点観察地点を高台から見下ろせば「ここは見事な広がりをもった里山だなあ」と思います。成長を続ける旧薪炭林の里山はツキノワグマにとっては良質なエサ場・行動圏なのでしょう。親子のクマもたびたび目撃されますので、豊富なエサ資源やこれを前提としたツキノワグマの繁殖状況も自ずと見えてきます。

 一般に「山にエサが無いから人里にクマが出てくる」とよく言われますが、新潟県魚沼地域について言えば「山にはドングリもシバグリも平年並みに実っている状況(ブナは平常年はほとんど実りません)」と判断されます。それでも昨秋のようにツキノワグマが人里に大量出没するとすれば、堅果類の豊凶に加えて「エリア全体としてツキノワグマの個体数自体が増加していること」と「人里に近い里山を行動圏とするツキノワグマの存在」が「人里への出没の新たな要因」とも思えます。

 

<調査地点ではドングリもシバグリもたくさん実っています 2020.09.03撮影>

 

<ブナの天然林を有する守門岳や藤平山へと続く旧薪炭林の里山を一望 2020.09.03撮影>