来週の7月23日は「海の日」で祝日となります。先日浅草山麓エコ・ミュージアムを訪れた中学生の方から「エコミュージアムの建物(内装材)に使われている木材は何ですか?」という質問を頂きました。正解は「県内産のスギ間伐材(越後杉 Cryptomeria japonica)※ヒノキ科」です。間伐材ですので、多くの黒い「節(フシ)」がありますが、これはこれで暖かみのあるランダムな模様となり、自然が作り出したデザインの妙があります。
以前、カナディアンカヌーを手作りしましたが、その際に用いた木材は「節の無い秋田杉」でした。寒冷で雪質も軽い秋田県では、良質な杉材が多数産出されます(新潟県でも同様な条件の県北地域を中心に優れた杉材が生産されます)。秋田杉の板を幅1cm、長さ200cmほどに更に細長く加工し、上下の接続面をカマボコ型にすることで、細長い杉材を組み合わせたカヌーの船体の曲線を作ってゆきます。そして組み上がった船体全体を透明なガラス繊維の布で覆い、最後はエポキシ樹脂で固めると「杉の木目が美しいカナディアンカヌー」が完成します。この時に使用したのは秋田杉ですが、軽くてしなやかで素直な、本当に加工し易い木材でした。「杉が古来より船の材料として使用されてきた理由」を実感します。
日本海に視線を転ずれば、 新潟県(越後の国 )の発展を担った「北前船の材料」や「佐渡から江戸へ船で運ばれた木材(太郎杉の物語)」も杉の木でした。世界史の中では、古代地中海文明の交易を担ったのは「レバノン杉(Cedrus libani)※マツ科」と「フェニキュア人の造船・航海技術」とされています。こうして見ると「海」と「スギ(杉)」とは、日本でも密接な関係があることが分かります。
7月23日の海の日には、「新潟の山野で育てられている杉の木」のことも意識したいと思います。