先月末のことですが、調査も兼ねて火焔型縄文土器で有名な新潟県中越エリアの津南・十日町地域へ行ってきました。
さて、津南・十日町地域といえば火焔型縄文土器や日本一の大河である信濃川に加えて、「日本一の河岸段丘」とも呼ばれるダイナミックな景観が特徴です。河岸段丘は隆起する大地と、そこを流れる河川の侵食・堆積作用とによって形作られた地形ですが、今回は国道117号線を折り返し点として「行きは現在の河床面、帰りは水田が続く段丘面」というルーティーンで距離と高低差のあるコースを設定し、徒歩で河岸段丘のスケールを体感してきました。日差しは強かったものの河川の近くは日陰もたくさんあり、また段丘面の縁にある農道に沿って雑木林が続いていたため、大地の芸術祭の関連作品も拝見しながらの快調なコースとなりました。ただし、一番下の現河床面は「巨大な崖の狭間(はざま)」でもありますので、上流の降雨やダムの放水などがあれば「逃げ場を失う可能性もあります」。よって、安全第一として地元のガイドさんや事前の図上検討などで降雨時のエスケープルートを確認しておく必要があります。
同じ新潟県内であっても、北魚沼地域と中魚沼(津南・十日町)地域とでは大地の成り立ちや景観、これに立脚する農業や集落の成り立ち、産業構造や植生などが異なっています。NHKの科学特集番組「列島誕生・ジオジャパン」も新シリーズが始まり、地学への興味関心も高まっているようです。地学は自然観察の基礎ですので、時間を見つけて各地で地学のフィールドワークを行いたいと思っています。