小千谷市の「五辺の池」 自然観察のライブ感 

 今日(R01.09.24)の新潟県魚沼地方は「台風17号から変わった温帯低気圧」が通過した後の「時雨模様の一日」となりました。前日の9/23はフェーン現象により最高気温が33.3度(守門西名アメダス観測点)まで上昇しましたが、今日(9/24)の最高気温は21.4度 (11:57)と気温の変化が大きくなっています。観察フィールドの生物たちも戸惑っているかも知れません。

 さて、今日(R01.09.24)は小千谷市の小学校からのオーダーで「五辺の池」で昆虫・植物・水辺の生き物の3分野にわたる自然観察を行いました。このフィールドでは同じメンバー(子ども達)で6月にも自然観察を実施しているのですが、「初夏と初秋の連続開催」により「季節による変化」が明確に分かるので、子ども達も様々な気付きがあったことと思います。

 ここで「五辺の池」について簡単に解説したいと思います。「五辺の池」は信濃川に設置された「妙見堰(水位調整等を目的)」の下流左岸にある「新しい河跡湖(自然河川部分と公園的水面部分が隣接)」です。平成2年の妙見堰の建設により付近の「河道」が固定された事から、妙見堰の水門部分の「斜め下」に位置し、「本流から離れた旧河道」が「河跡湖状態」となっています。五辺の池には信濃川から人為的に導水が為され、少しずつですが湖水の入替がありますので、信濃川に生息する魚類や甲殻類などが五辺の池にも入り込み、妙見堰の建設後に発達した河畔林と平穏な水域とともに水辺の自然観察(信濃川中流域の生物相)に適した条件が整備されています(全体としてエリアが広く、信濃川本流にも近いことから”安全確保の面からも保護者同伴での活動”が望ましいと思います)。

 水辺の生き物調査班では手網を用いて安全な場所で生物を採集しました。今回確認出来た生物ですが、魚類は「ウグイ(若しくはオイカワ)の稚魚」が中心となり、また甲殻類では「ヌカエビ」が数多く採集されました。特定外来生物であるオオクチバス(ブラックバス・ラージマウスバス)やコクチバス(スモールマウスバス)、ブルーギルなどの生息に関する事前情報も把握してはいたものの、調査用具が手網という事もあり、特定外来生物に関する今回の捕獲実績は0(ゼロ)となりました。五辺の池では地元の漁業共同組合による特定外来生物の駆除事業も行われており、関係者の皆さんの取組みの成果として「特定外来生物の生息数の抑制」に繋がっているとも考えられます。

 そして子ども達の様子ですが、「やはり自然の中では子ども達の好奇心は全開」です。採集ポイントの見極め方や手網の使い方など、安全面を含めて幾つかアドバイスを与えると、子ども達の生物採集はどんどん上手になってゆきます。「生物を見つけて捕まえること」は「生物の種類や生態を理解する事」に直結していますし、「好奇心は学習への強力なエンジン」ですので、やはり野外での自然観察から得られるものは非常に大きいと思います。「同じ場所」でも季節が違えば「出逢える生物も気付きも様々」です。予定外のゲスト(ミズカマキリやヨコエビなど)の登場もあり、正に「自然観察は一期一会のライブ!」を実感した野外講座でした。次の「冬の五辺の池観察」も楽しみですね。オオハクチョウやイタチ、オオバンにも出逢えるでしょうか?