「山より大きなイノシシは出ない」 が、しかし・・・ アニマルトラッキングと自然観察

 先日、薄暗い早朝の時間帯に県内の海辺の街を自動車で通りがかったところ、「茶色の中型の動物が4頭連なって」道路脇を走り抜けてゆく光景を目撃しました。道路上では茶色の体色から一瞬「ニホンザル?」かと思いましたが、隊列を組んで道路脇の斜面に逃げて行く様子と個体のシルエットから「ニホンイノシシ」と確信した次第です。幼獣時代の特徴である縞模様(ウリ坊)もないことから、ある程度成熟した個体(群)と思われます。

 「山より大きなイノシシは出ない」との諺があり、「事に際しては冷静沈着に対処することが肝心」との意味で用いられますが、ニホンイノシシについては「確かに山よりも大きなイノシシは存在しない」としても、「ニホンイノシシによる農業被害や人的被害(衝突等による受傷事案)」は看過出来ません。実際、今回の目撃地点の周辺では以前から耕作地へのニホンイノシシの侵入を防止するために電気柵や金網等が用いられており、被害の深刻さがうかがえます。

 今までは新潟県内でイノシシのフィールドサイン(足跡、フン、ヌタ場等)を見かけることは稀でしたが、イノシシの生息域の拡大と個体数増加の局面を迎えた現在、「野生のイノシシに関する知識」と「自然観察におけるアニマルトラッキング(野生動物の行動追跡・痕跡確認)の調査手法」は「市民の皆さんの安全確保の観点」からも益々重要になると思われます。