今朝の新潟県魚沼地方は穏やかな晴天の朝を迎えています。守門アメダス観測点における最低気温は8.9度、日中の最高気温は19度と予想されています。周囲の水田では田起こしや代掻き、また早いところでは田植えも始まっています。当地では「タニウツギ」が里山で咲くころが田植えの盛期になります。季節も春から初夏へと向かってゆきます。
<左上:水が張られた水田とJR只見線の列車 右上:タニウツギが咲き出しました>
<左下:イタドリはニホンカモシカの大好物 右下:タチツボスミレsp>
さて「里山のツキノワグマ」の連載も100回を超えましたが、ここ数日でも各地から「人里近くでのツキノワグマの出没」のニュースが流れてきます。このブログでは何回も言及していますが、雪解けの早い里山エリアは「春先から晩春にかけてツキノワグマの餌場」となる傾向が見られます。もちろん全てのツキノワグマが里山エリアに集結している訳ではありませんが、数々の研究者が指摘しているように「クマの社会構造に起因して、里山エリアには若いクマや親子グマの割合が多い印象があります」。大きくて強いオスのクマは、時としてメスのクマと交尾するために仔グマを攻撃する場合があり、こうした災難から逃れるために「メスグマは敢えて人里近くの安全な場所で仔育てする」とする研究結果(北欧)もあります。
当方の定点観察エリア(里山エリア)では、今シーズンもオニグルミやミツバアケビの花が順調に開花しています。またコナラの花も現在満開です。「人間のせいでツキノワグマは餌不足に苦しんでいる」「ナラ枯れでドングリの実る木々は全滅」という言説が都市部の方を中心に発せられる印象がありますが、こうして数年に渡って毎朝定点観察を続けていると、新潟県魚沼地域の里山(旧薪炭林)はツキノワグマの餌資源が豊富であり、「若いクマや親子グマを中心として里山を行動圏とするツキノワグマが出現しているのも」「無理はない」と思うに至ります。そして自然観察は小さなファクト(事実)の発見を積み重ねて、自然の大きなストーリー(truth=真実)に近づく作業(研究)であることを実感します。
「里山のツキノワグマ」に関するQ&Aはこちらです(随時更新中)。
<左上:オニグルミも花盛り 右上:ミツバアケビも開花期を迎えています>
<左下:オニグルミに穴をあけるのはアカネズミの仕業 右下:里山のコナラも花盛り>