今朝(2021.04.23)も「里山のツキノワグマ」の定点観察を出勤前に実施しました。その結果、ツキノワグマの新しいフィールドサイン(生態痕跡)の発見は無かったものの、昨年秋にマークしていた桐の木のウロの写真撮影が出来ました。
<左上:代掻きを待つ水田と越後駒ヶ岳を遠望 右上:朝日に輝くブナの新緑>
<左下:控えめに咲くショウジョウバカマ 右下:クマの餌資源でもあるタムシバの花>
昨日(4/22)の夕方のことですが、藤平山(ふじびろやま)の山麓で調査していたところ「アナグマとばったり遭遇しました」。アナグマは名前の通り「穴掘りが得意なイタチの仲間」ですが、当方との遭遇に余程びっくりしたのか、「ブフッ!」という鳴き声を発して水路の土管の中に隠れてゆきました。人間で言えば「ギャフン!」と言わせた感じでしょうか?
自然観察でアナグマの鳴き声を聞いたのは今回が初めての経験です。やはりフィールド調査は発見の連続です。
さて、守門岳の南西麓に位置する「里山のツキノワグマ」の定点観察地点ですが、まさに「山笑う春」となっています。鮮やかなブナの新緑を基調として、ツキノワグマの餌資源となるタムシバやヤマザクラの花が咲き誇り、ホオノキの展葉も進行中です。先月から今月にかけては「奥山のツキノワグマ調査(ラインセンサス)」も実施しましたが、あらためて「里山は雪解けも早く、植物の種類も豊富で魅力的な場所だな」としみじみ思います。このブログでは何回も言及していますが、「人間が奥山をめちゃくちゃにしたからクマが人里に降りてくる」と言うよりは、新潟県魚沼地方のツキノワグマにとって「里山(旧薪炭林)は餌資源が豊富な新天地であること」が「近年のツキノワグマの人里への出没要因のひとつである」と実感します。
<左上:成長の早い桐の木はウロも出来やすく・・ 右上:クマの冬眠場所となる可能性あり>
<左下:芽吹きが進むホオノキ 右下:カモの仲間が貯水池の上空を旋回>
また里山のツキノワグマの冬眠場所については解明は進んでいませんが、当地(新潟県魚沼地方)については「成長の早い桐の木」や「沢沿いにあって過去の伐採対象とならなかったシロヤナギの大木」などが、「里山のツキノワグマ」の冬眠場所の候補ではないか・・と考えています。