里山のツキノワグマ 90 〜浅草岳北麓でラインセンサスを実施 カモシカは居るが・・〜

 今日(2021.04.10)は寒気が抜けつつある土曜日という事で、冬眠明けのツキノワグマの足跡を発見すべく休日を利用して浅草岳北麓のラインセンサスを実施しました。

<左上:守門岳と守門黒姫の山頂付近は未だ冬の装い 右上:雪上調査にはテレマークスキーが最適>

<左下:新雪の上にあるカモシカの新しい足跡 右下:積雪に覆われた奥山はカモシカの独壇場>

 

 前日の金曜日に降った新雪によって雪面がリセットされたため、雪上のラインセンサスには絶好の条件となりました。柔らかい新雪の上には新しい足跡が明確に残るので、前日からの動物の動きが生き生きと伝わってきます。特に今回は「ニホンカモシカの足跡」を至る所で確認出来ました。その一方でツキノワグマの足跡については「過去に何回か足跡を発見した場所」を押さえたライン取りで調査したものの、今回は見つかりませんでした。ただ、この結果を以って「越後の奥山(浅草岳北麓)からクマが居なくなった」と判断するのは早計です。ツキノワグマはそもそも広大な行動圏(一種のナワバリ)を有する動物ですし、奥山では時期的に未だ冬眠から目覚めていない個体が多いとすれば、「4月上旬の奥山エリアにおけるラインセンサスでクマの足跡が見つからない」としても不思議ではありません。反対に冬眠しないトウホクノウサギやニホンカモシカなどの足跡は、かなりの頻度で今回も確認できました。何れにしても新潟県魚沼地域については「人間が奥山をめちゃくちゃにしたから動物が居場所を失った」「奥山には生き物の気配ゼロ」といった極端な状態にはないと判断されます。当地では奥山にも里山にもたくさんの生き物が存在します

 

<左上:浅草岳のカヘヨ沢 右上:浅草岳の標高1,000m前後にある原生的なブナの天然林>

<左下:奥山のブナもそろそろ芽吹きの季節 右下:枝先にはブナの花芽があるようにも見えます>

 

 今回の奥山のラインセンサスでは「冬眠明けのツキノワグマの新しい足跡」は発見されなかったものの、「奥山のツキノワグマの調査を継続することで」「里山のツキノワグマの生態に迫るヒントが見つかる」ように思います