新潟県魚沼市地方の浅草山麓では、今日(2020.11.04)が里山エリアの初雪となりました。以前のブログでも言及しましたが、初雪の頃にはツキノワグマの足跡が発見しやすくなります。過去の経験からも、「初雪の頃にはあの場所でクマの足跡があったよな」という記憶が鮮明に蘇ります。例えば、「赤土を初雪の雪面に残したツキノワグマの足跡」が語るのは、「そのクマが河川沿いの赤土の法面を横断して移動してきたという事実」です。雪面に残された全ての足跡には、その動物に関する具体的なストーリーが存在します。
<この場所では、数年前の初雪の頃にツキノワグマの足跡が観察されました。初雪に輝く路面には、おそらく今夜以降様々な野生動物の足跡が残される筈です>
<野生動物のフィールドサイン(生態痕跡)の考察は「冬の自然観察の醍醐味」です>
新潟県魚沼地域のような豪雪地帯では、奥山のツキノワグマは主に「ブナの巨木の洞穴(ウロ)」を冬眠(冬籠り)場所として利用しています。しかし、平成一桁の頃から徐々に出現したと思われる「里山のツキノワグマ」の、「冬眠場所に関する知見」は当地ではほとんどありません。ただし、当方のフィールドワークの中では幾つかのヒントが見つかりつつあります。そのひとつが「里山にある杉林」です。
杉林の中は風雪の影響も少なく、ニホンカモシカなどが冬期のシェルター(滞在場所)として利用します。豪雪地帯の杉林には、積雪圧のために倒れる杉の木もあり、「その倒木と地表面とが作る空間」は「ツキノワグマの一時的なシェルターとして利用されるだけでは無く」、「ツキノワグマの冬眠場所にも成り得るのでは」と思案しています。
この他にも「成長の早い桐の木のウロ」や「ナラ枯れした古木のウロ」なども、当地域に生息する「里山のツキノワグマの冬眠場所」としてリストアップしています。今後の調査活動の中で、「雪上の足跡を糸口として」「里山のツキノワグマの冬眠場所」に関する新たな発見があるかも知れません。
<旧薪炭林の中に点在する杉林は、初雪の頃のツキノワグマのシェルターとなっている可能性があります>
<里山のツキノワグマの冬眠場所は一体どこでしょうか?>