今朝(2020.10.22)も里山エリア(エコミュージアム園内ではありません)の早朝定点観察を実施しました。守門アメダス観測点における最低気温は9.2度となり、昨日よりも暖かく感じますが、今夜から降雨が予想されています。文字通り「秋に三日の晴れ無し」ですね。
さて、今朝の定点観察ではツキノワグマのフンや足跡などのフィールドサインは確認されませんでした。それでも、森の中には沢山のアケビが実っていますので、昨日のフンの排出者であるツキノワグマは、おそらく「人家から距離のあるこの里山エリア」で暫く行動すると判断しています。毎朝の観察でも中々姿を見せないツキノワグマの個体ではありますが、おそらく降雪期の直前まで観察対象とすることが可能と判断し、この個体を「SB1(Shy Bear、姿を見せない熊1号)」と命名の上、「里山のツキノワグマ」の生態研究の対象としたいと思います。
<曇天の里山エリアですが、森の中はツキノワグマの気配が濃厚です>
<安全確保のためにも、小型四駆はクマ調査の相棒であり、必需品です>
<自動車から降りる前に周囲の様子を良く観察し、クラクションを5回以上鳴らします>
<アケビが豊作だからでしょうか、インジケーター(指標)としている柿の木に(今朝は)変化無しです>
<紅葉のパッチワークが証明するのは、様々な樹種が混在する旧薪炭林の多様性です>
今シーズンは各地でツキノワグマの人里や市街地への出没が頻発しています。一般的には「山の木の実が不作」とか「人間がクマの住処(すみか)を奪った」という風に説明されますが、実際にツキノワグマの生息地となっている「里山エリア」を調査すると、印象は全く異なります。これらの一般的な言説とは異なり、「里山エリアは樹種が豊富」で、仮にある種類の堅果類が不作であっても、当方のクマのフンの内容物調査の結果が示す通り、「堅果類の不作をカバーする他のエサ資源(例えばアケビやオニグルミなど)」が存在しています。秋の紅葉の様子からも見て取れる通り、「この旧薪炭林(里山)は様々な樹種が存在する多様性をもった場所」です。「里山のツキノワグマ」が存在する理由のひとつは、こうした「旧薪炭林の森の多様性にある」と思うに至っています。
<この森のアケビは豊作です。クマが食べていないアケビがまだまだ沢山あります>