里山のツキノワグマ 41 〜インジケーターにクマの反応あり 甘くなるまで待ってます?〜 

 今朝(2020.10.18)も里山エリア(エコミュージアム園内ではありません)の早朝定点観察を実施しました。守門アメダス観測点における最低気温は4.7度と昨日より随分冷え込みました。自動車はヒーターに加えてリアガラスのデフロスタも稼働させました。さて、今朝の定点観察地点では秋晴れの素晴らしい景色が広がりました。

 

<調査地点の南側に位置する魚沼盆地は冷えて重くなった大気が滞留する冷気湖を形成します>

 

 一般に野生動物の行動は気温や天候の変化に左右される傾向がありますが、夜半から今朝にかけての冷え込みが作用したのか、昨日紹介したツキノワグマのインジケーター(指標・目印)として注目している「河畔にある柿の木」に、早速ツキノワグマによるものと思われるフィールドサイン(生態痕跡)が確認されました。状況のストーリーとしては「早朝の時間帯にかけて里山から採食のために移動してきたツキノワグマが、河畔(人里)にある柿の実を食べるために枝を手繰り寄せて折り、柿の実を数個採食したものの、すぐに立ち去った」という感じでしょうか。

 昨日の朝の時点から24時間以内に形成されたフィールドサインである事から、この里山エリアでは「ツキノワグマの活動が現在も展開されていること」が分かります。周辺にお住まいの方は御注意下さい(この地区ではツキノワグマの目撃情報も寄せられています)。

 

<枝を折って柿の実を食べるのはツキノワグマの採食行動の特徴です>

<柿の木の幹に巻かれたナイロンロープも(クマによって)引きちぎられていました>

 

 この食痕の様子から「ツキノワグマは柿の実を数個食べてはみたが、あまり美味しくなかった(まだ熟していないので糖分も少ない)ので甘くなるまで待っている」のかも知れませんね。そして柿の実は様々な動物が採食しますが、例えばニホンザルの食痕は食べ残した柿の実が地面に散乱する傾向があります。猿がカニの母親に意地悪をした昔話の「猿カニ合戦」を思い出しますね。