里山のツキノワグマ 34 〜午前6時の死角、クマの足跡の読み方〜

 今朝(2020.10.12)も里山エリア(エコミュージアム園内ではありません)の早朝定点観察を実施しました。今の季節、午前6時の里山はちょうど朝日が稜線から姿を現わす時間帯となります。魚沼盆地は夜半の放射冷却によって「冷気湖」を形成します。このため、晴天の早朝は「盆地の平野部は濃い霧に覆われることが多くなります」。昨日(2020.10.11)は隣接自治体の南魚沼市で「早朝6時の時間帯」にツキノワグマによる人身事故が発生しました。自然観察の分野では「早朝は夜の延長」という言葉がありますが、これはツキノワグマの行動についても当てはまるのかも知れません。

 早朝にかけて里山から人里に採食行動のために移動してきたツキノワグマが、午前6時の冷気湖の霧にまぎれてしまい、最終的に2名の女性を攻撃するに至ったとするストーリーです。ただし、この場合の「冷気湖の霧」は「人身事故の要因のひとつ」ではありますが、「原因の全て」ではありません「人里に於いてツキノワグマによる人身事故が発生した真の原因(個体数の推移、個体群の密度、行動圏の変遷等)」に関する科学的分析が求められています

<里山エリアの午前6時は本当に美しい時間帯です>

<この景色の中に何頭のツキノワグマが生息しているのでしょうか?>

 

 さて、自然観察の基本として「フィールドサイン(生態痕跡)の読み方」があります。以下の写真はツキノワグマが里山エリアの畑の畝(うね)に残した足跡です。初心者の方にとって最初は難しく感じるかも知れませんが、フィールドサインの読み方のポイントとして、

・動物の種類は決めつけない。

・動物の動いていった方向(ディレクション)に注目する。

・足跡の大きさと歩幅に注目する。

 (歩幅を注意深く観察すると動物のサイズが推定できます)

・歩いていたのか、走っていたのか注目する。

・足跡の風化の様子から、動物が行動した期日と時間帯に注目する。

等の見方があります。さて、以下の足跡から貴方はどのように「このツキノワグマ」を想像しますか?

 

<フィールドサインの読み方は奥が深いですね>

<おやおや、となりにタヌキやムジナの足跡もありますね>