里山のツキノワグマ 17 〜原点に立ち返って藤平山山麓を調査〜

 今朝(2020.09.23)も里山エリア(エコミュージアム園内ではありません)の定点観察を行いました。手法としては小型四駆を用いた「ラインセンサス(定常コースの巡視調査)」とも言えますが、先の有害駆除が効いているのか、いつものコース上にはツキノワグマのフンや足跡などの行動痕跡は発見できませんでした。

 そこで原点に立ち返って、後半の時間は地元の方が”ツキノワグマの巣(基盤生息域)”とも表現するほどツキノワグマの行動痕跡が色濃い守門山系の「藤平山(ふじびろやま、1144m)」の山麓に向かいました。藤平山はその大部分が旧薪炭林ですが、守門山系に位置しているため「上部のブナの天然林と下部の二次林(旧薪炭林)とが連続している」植生となっています。また藤平山は集落に向けて裾野を広げており、現在調査中の「里山のツキノワグマ」の供給源とも考えられるエリアです

 

<ブナの天然林と旧薪炭林とが連続する守門山系の藤平山。裾野から下手の集落を見渡すとクマの視点になります>

 

 藤平山の裾野には水田や神社、カキの木が実る集落が点在しています。そして、集落内のカキの木の多くはツキノワグマの食害により「枝が折れた独特の姿」になっています。またオニグルミの群落が長く集落内に伸びており、8月中旬から集落付近で観察された「オニグルミの外殻を含んだツキノワグマのフン」に関するストーリーが思い起こされます。