ブナは数年おきに大量開花(結実)する性質があり、ここ新潟県浅草山麓では本年(平成30年度)の春に「ブナの花の大量開花」が観察されています。そして前回の経過では、
1.春にブナが大量開花(秋にはブナの実が豊作)
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2.翌年の初夏に「ブナアオシャチホコ(森林性の蛾)」の幼虫(青虫)が樹上に数多く発生
(ブナの葉が大量に食害され、樹冠部分がスカスカに)
(地面には青虫の小粒状のフンがパラパラと降り続きます)
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3.この青虫を捕食するクロカタビロオサムシが初夏以降林床部に数多く発生
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4.翌年には沈静化(標準年に戻る)
というサイクルが見られました。このサイクルが当地(浅草山麓)だけなのか、はたまた東日本のブナ林帯で広く観察される現象なのか、未知の部分が多くありますが、非常に興味深い現象です。
しかしながら今年はちょっと様子が異なり、「ブナの大量開花」と「クロカタビロオサムシの発生(大量とは言えないレベルですが・・)」が同時に観察されています。そして姿はまだ見えませんが、樹上からは「小粒状のフン」がパラパラと降り続いています(ブナアオシャチホコの幼虫のフンか?)。平年の1/3に留まった梅雨時の降水量(少雨)が要因なのか、このところの猛暑が要因なのか、いろいろ思案しています。
「クロカタビロオサムシ」は体長3cmほどの黒色の甲虫で肉食性。素早く林床や樹幹を移動し、餌(青虫類)を捕食しています。当地での生息密度(H30、ブナ林帯の林床部)は3.3平米あたり2〜3匹程度(ざっくりとした目測)です。
「ブナアオシャチホコ」と「クロカタビロオサムシ」との関係については、東北森林管理局のページや森林総合研究所のページが分かりやすく秀逸です。