今日は地元の中学生の総合学習。理科と地域学習をメインに・・というオーダーでした。森の観察に出掛ける前に生徒さんに聞いてみます。「数学で素数って習った?」「はい」「1とその数以外では割り切れない数です」。素晴らしく優秀です。30分ほどの自然観察の間、梅雨明けを迎えたブナの樹上からはエゾハルゼミの大合唱。では最後に簡単な「セミの羽化周期考察モデル(※)」を実験してみましょう。セミ(蝉)役は生徒さんです。舞台は氷河期前後の寒冷化した森を想定。セミが成虫となって羽化する周期を1年から13年までに設定し、それぞれ1名の生徒が担当します。一列に並んで、羽化するセミ(生徒)さんは一歩前へ。1年毎の時を司る神「クロノス」役は中学校の先生です。
1年目の夏 1年ゼミ(羽化)
2年目の夏 1年ゼミ(羽化) 2年ゼミ(羽化)
3年目の夏 1年ゼミ(羽化) 3年ゼミ(羽化)
4年目の夏 1年ゼミ(羽化) 2年ゼミ(羽化) 4年ゼミ(羽化)
5年目の夏 1年ゼミ(羽化) 5年ゼミ(羽化)
6年目の夏 1年ゼミ(羽化) 2年ゼミ(羽化) 3年ゼミ(羽化) 6年ゼミ(羽化)
7年目の夏 1年ゼミ(羽化) 7年ゼミ(羽化)
8年目の夏 1年ゼミ(羽化) 2年ゼミ(羽化) 4年ゼミ(羽化) 8年ゼミ(羽化)
9年目の夏 1年ゼミ(羽化) 3年ゼミ(羽化) 9年ゼミ(羽化)
10年目の夏 1年ゼミ(羽化) 2年ゼミ(羽化) 5年ゼミ(羽化) 10年ゼミ(羽化)
11年目の夏 1年ゼミ(羽化) 11年ゼミ(羽化)
12年目の夏 1年ゼミ(羽化) 2年ゼミ(羽化) 3年ゼミ(羽化) 4年ゼミ(羽化)
6年ゼミ(羽化) 12年ゼミ(羽化)
13年目の夏 1年ゼミ(羽化) 13年ゼミ(羽化)
それぞれのセミさん(生徒さん)に感想をインタビュー。以下はそのまとめです。
1年ゼミ 「毎年毎年で大変!」「疲れる!」
3年ゼミ 「最初はライバルが少ないと思ったけど、12年目にはライバル激増。」
「絶滅するかも?」
4年ゼミ 「最初から競争が厳しいのは実感していた。」「8年後はもっと厳しい。」
5年ゼミ 「10年目で撃沈!」
7年ゼミ 「7年間はちょうど良かった。」「でも寂しいかも知れない。」
12年ゼミ 「長く待った上にとにかくライバルが多い」「良い事はあるのか?」
13年ゼミ 「13年は長いし不安。」「勝ったのか負けたのか、よくわからない。」
最後に北米に生息する周期ゼミの生態を簡単に紹介。今回の考察では7年、11年、
あるいは13年周期に「何か生物学における素数としての意味があるようですね・・・」
というところで本日は終了。見えて来るのは、
周期性の確保(正確に大量発生)なのか、競争相手(近似種)や捕食者からの忌避なのか、
交尾相手の確保なのか、費用対効果最大化の結果なのか、いろいろ考えて見ましょう。
何だか「素数」についても、イメージが豊かになったようですね。
※産卵から羽化に至る過程を極めて単純化したモデルです。
カウントミス等も御容赦下さい。
実際のセミの生態を忠実に再現してはいません。御了承下さい。