浅草岳登山安全情報 2021.06.07追記

<2021.06.07 追記>

 今日現在(2021.06.07)、浅草岳の新潟県側には残雪が各所に存在します。特にヤスノ沢の枝沢と林道との交差部(標高1,016m付近など)では雪渓の通過に御注意下さい。一般に沢水が流れる真上の雪渓部分は薄く、踏み抜きや全身転落の危険性がありますし、雪渓の真下や背後も雪渓崩落の下敷き(近隣では奥只見の荒沢岳・中荒沢で過去に雪渓崩落による死亡事故あり)となる危険性があります。夏山開き前の状態ですと指導標(コース案内柱)も雪中に埋没していて道迷いの危険性も存在します。

 お隣りの守門岳では今シーズン既に何件かの遭難事案(道迷い・雪渓滑落の怪我による行動不能)が発生しています。季節は初夏ですが豪雪地帯に位置する浅草岳では残雪期特有の危険予知が必要な場面が多数存在します。

 浅草岳の令和3年度の夏山開きは2021年6月27日(日)の予定です(山開きに関する現地でのイベント等はありません)。

 

<2021.03.08 追記>

 2021年3月7日の正午前後に県警ヘリ(青い機体色に赤い縦ライン)が守門袴岳から守門黒姫方面へ飛行し、また同じタイミングで国道252号線を魚沼市消防本部のPAレスキュー隊が大白川方面へ緊急走行して行きましたが、警察・消防の皆さんが連携して守門岳で救助活動にあたっている様子でした。翌日の新聞報道によれば、要救助者(登山者)の方は県警ヘリにより無事救助されたようで一安心です。当方も登山者救助の経験がありますが、警察・消防の皆さんが現場に来て下さると安心感が違います。

 他の方の登山報告によれば、「奥山ではブナの小枝に過冷却水による雨氷(うひょう)が形成されるコンディション」でした。この時期に雨天から放射冷却現象に移行すると「雪面の氷結が顕著」となり、斜面滑落の危険性が増大します。越後の雪山で登山をされる方はアイゼンやピッケルの装備もお願いいたします。また近年利用者の増えている「ファットスキー(幅広の深雪用スキー)」はエッジポイントが遠くなるため、特に氷結斜面の滑走やトラバースではその取り扱いに一層の注意が必要です。

 そして「浅草岳ヤスノ沢」での滑走ですが、ヤスノ沢は漏斗状の地形を有しており、またその上部には急斜面と巨大雪庇があり雪崩発生時には著しく危険な場所となります。近年ではスキーヤーやボーダーの方が雪崩に巻き込まれる事案も発生しています。ヤスノ沢では過去にはブロック雪崩により多数の死傷者が発生した経緯もありますので、安易に立ち入ることなく安全第一の登山をお願いいたします。

 

<2019.06.10 追記>

 浅草山麓エコミュージアムと浅草岳ネズモチ平登山口へのアクセス道路である県道385号線について、2019.6.07(金)より冬期閉鎖が解除されました。また、浅草岳ネズモチ平登山口までの林道区間につきましても「6/10現在で通行可能(規制雨量等に注意)」となっています。ただし、林道区間は幅員も狭く路面も凹凸の未舗装区間がありますので、一般車両の通行には十分御注意下さい。また浅草岳には6/10現在各所に大量の残雪がありますので、アイゼンの携行など装備の確認と安全対策をお願いいたします。浅草岳の山開き(新潟県側)は6/23(日)の予定となっています。

 

<2018.07.02追記>

 魚沼市消防本部の出動情報によると、2018/7/1(日)に浅草岳及び鬼ケ面山方面で山岳救助活動に伴う出動(県消防防災ヘリコプターによる救助を含む)が複数あったようです。雪渓での滑落や朝露等で滑りやすい場所での転倒、岩場からの落石、山行中の熱中症など十分に御注意下さい。また六十里峠〜鬼ケ面山〜浅草岳間の縦走は健脚向きのロングコースですが、水場が少なく「夏場は特に体力の保持と水分補給等の熱中症対策が重要」となります。皆様の安全な登山を願っております。

 

<以下本文です>

 浅草岳のヒメサユリ開花盛期に向けて、週末の天気予報が気になる方も多いと思います。浅草山麓エコミュージアムへの問合せ電話でも、

「夏山の浅草岳で軽アイゼンは不要ですよね?」

という質問を時々いただきます。

地元の新潟県在住の方は雪道に比較的慣れていて、子どもの頃から雪上で遊んで育った方も多いと思います。また夏山登山をされる方の中には、「アイゼン・ピッケルが必要な冬山(雪山)にも登るが、夏山の雪渓が自分の技量内の場合はアイゼン不使用」という方も一定割合でいらっしゃるでしょう。

 

 その一方で、ヒメサユリ開花期の浅草岳は近年大人気であり、広く全国から登山者が訪れます。中には「雪山(冬山)の登山経験が無く、普段は雪道も歩かない」・・という方も一定数いらっしゃるでしょう。現在登山者の体力・技量・経験値の差は大きく、一概には言えない部分でありますが、こうした背景もあり「当施設に上記の御質問をいただいた際」には、

 

「雪渓通過の場面があるとすれば、(御本人が心配であれば尚更)お守り代わりに軽アイゼン等を用意してはいかがですか」

 

とお答えするようにしています。皆様の安全な登山を願っております。